芦屋市に計画した倉庫のような住宅のプロジェクトです。敷地は阪神高速の高架がまたがる国道43号線に面しており、日夜交通量が絶えず大型車両の往来による騒音と振動が懸案事項となりました。そこで建物を鉄骨造とし地上面から浮かせる事で内部の生活空間を道路と切り離しています。さらに鉄骨の柱脚を地中に深く埋込み、柱梁のメンバーを通常より大きくすることで振動をほぼ感じることのない構造体を実現しています。一見、交通量の多い国道は生活にとってマイナス要素になりがちですが、居住空間を地上面と切り離し騒音と振動を取り除くことで、絶えず車が行き交う様は見ていて飽きる事のない景色となりました。また大きな開口部からは視線が抜け、六甲山系の山並にまで届く借景になっています。
この住宅のプランは単純明快で、6本の柱で2、3階のボックスを浮かせる構成です。その形は倉庫に近く、内部は間仕切り壁を極力少なくしています。1階はピロティで浮かせ、ガレージや菜園、バーベキューの場所として利用できます。2階はワンルームのカフェのようなリビングで行き交う車を眺められます。3階には寝室と子供室を設けており、各部屋をバルコニーで繋ぐ事で回遊性のあるプランとし、どこからも外に視線が抜け、狭いながらも広がりを感じることができます。夏には屋上で子供がプールを楽しみ、みんなで花火が見れる。色々な場所でいろんな遊びが出来る住宅です。